お酒やタバコを買うお客さまには、年齢確認をしなければいけません。
ところが実際に年齢確認をしているレジ担当者なんて、わずかひとにぎりにすぎないのです。
そのため、年齢確認されなかったことに対して疑問を感じる方もいるようです。
なぜ、しなければならないはずの年齢確認が行われないのか、その理由を知ったらきっと、驚いてしまいますよ。
見た目では年齢を判別できない
まず年齢確認を求めるのは、未成年者かどうかを確認するためとなっています。
そのため、未成年者かと疑わしいお客さまに声をかけなければならないのですが、この点がネックとなっています。
正直いって 人の年齢は、見た目では判別できない からです。
中高生もメイクや服装で見た目は大人同然となるもともと童顔だったり、若返りのメイクをしている人は実年齢より若く見られがちですし、その逆に年齢の割に背が高かったり、大人びた顔立ちをしていると実年齢よりも高くみられるものです。
このことから学生服を着ていたり、あきらかに子どもだという場合を除くと、未成年だと疑わしいかどうかすら判別できないわけです。
さらに言ってしまえば、19歳と20歳の違いを見分けることなんてできるわけがありません。
いずれにせよ、 レジで対面した瞬間にお客さまを未成年者かもしれないと判別すること自体が難しい のです。
未成年者かもしれないという判別ができなければ、そもそも年齢確認をするしない以前の話となります。
無用なクレームを防ぎたい
お客さまに年齢確認を求めたことによって、クレームに発展する場合もあります 。クレームの内容は、成人にあるにもかかわらず年齢確認を求められ、不快な思いをしたというものがほとんどです。
実際、クレームが事件に発展した事例もあります。
コンビニで酒類販売の際に店側が求めるパネルタッチによる年齢確認に激高し、レジの液晶パネルを壊したとして兵庫県宝塚市の男(46)が2018年7月1日、県警に現行犯逮捕された。
神戸新聞(ウェブ版)などが報じた。
見た目で明白に「未成年には見えない」大人が、なぜパネルを押さなければいけないのか――こうした抵抗感をもつ成人、なかでも中高年以上の人は少なくない。朝日新聞
店の従業員にはなんの落ち度もないのに、このようなクレームをつけられるのでは、たまったものじゃありませんよね。
しかしいくら店には年齢確認の義務があると説明しても、クレーマーには理解してもらえません。
そのため このようなクレームを防ぐには、クレームの元となってしまう年齢確認を行わずにやり過ごすしかありません 。
お客さまの良心にゆだねている
店内で注意喚起のアナウンスをしたり、ポスターを掲示したりしているから、年齢確認をわざわざ行わなくてもいいと考えている担当者も少なくありません。
年齢確認しないのはお客さまを信用しているからたしかに、いたるところで「お酒は20歳になってから」「未成年者の喫煙は法律で禁止されています」といった案内を見聞きしますよね。
このような 注意喚起を聞けば、良心のある未成年者は自らお酒などの購入を断念すると店側は考えている のです。
ある意味店側はお客さまを信用している、ともいえるでしょう。
そして 酒や煙草を買いに来るお客さまのなかに、未成年者がいるはずないだろうとの過信から、店は年齢確認を行わない のです。
いちいち年齢確認するのが面倒くさい
ここまで、見た目では年齢を判別できない・無用なクレームを防ぎたい・お客さまの良心にゆだねているという3つの理由について紹介しました。
これらの理由を総括すると、いちいち年齢確認するのが面倒くさいからということになります 。注意喚起はちゃんとしているし、万が一クレームになったら困るし、イマドキの中高生は私服になったら大人同然だし…などと考えているうちに、年齢確認すること自体が面倒くさくなってくるのです。
もちろん年齢確認をしなければ、店が罰せられることになりますが、そもそも年齢確認をしていないことが警察に知られるケースはまれです 。そのため、本来行わなければならないはずの年齢確認を怠ってしまっているのです。
年齢確認されるのがウザいとみなさん思っていることでしょうが、年齢確認するほうも正直面倒だと感じています。
そのためか、コンビニではタッチパネル式の年齢確認になっていますが、それですら店の従業員が勝手に押して年齢確認完了としているほどです。
一応形だけでも、年齢確認したということにしておかないとマズいわけですが、これなら年齢確認する必要性がなくなってしまいますよね。
形だけの年齢確認なんて、従業員からすると余計な手間が増えるだけで、なにもいいことなんてありません。
もっとスマートな年齢確認の方法がこの先確立されていけば、お客さまにとっても従業員にとっても不快な思いをせずにすむのではないかと思います。