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店長とバイヤー、どちらが偉いの?-単純には比較できない-

なんでだろう?

店長とバイヤーは、職位としては上位職ということは傍目からみてもわかりますよね。

しかし、両者を比較した際、一体どちらの方が立場が上になるのでしょうか。

そんな疑問を小売業界に長く携わっている方なら、一度は考えたことがあるかと思います。

そこで今回は、店長とバイヤーについて考察してみます。


位置付けは各企業によって異なる

実際のところ…店長とバイヤー、 どちらの職位が上になるのかというのは、その企業によって異なっています。 

店長とバイヤーが同格であるところもあれば、バイヤーが格下というところもある、というわけです。
ただし、店長がバイヤーより格下というケースはあまり見られません。

それは何故かというと、店長とバイヤーでは、 どちらかといえば店長の方が敷居が高い ということが関係しています。

何故店長の方が敷居が高いのか?については、次項目で説明していきます。

しかし、店長経験者がバイヤーになったり、その逆でバイヤー経験者が店長になったりすることもあります。

いずれにせよ、店長やバイヤーよりも更に上の職位に就くためには、店長職・バイヤー職の両方の経験が求められます。

そのため、店長もバイヤーも立場の上下は関係なく、キャリアアップには大切な職務だということは間違いないでしょう。

例えるのなら、”浅く広く”か”深く狭く”か

さて、前項で「店長の方が敷居が高い」と記しましたが、その理由について説明していきましょう。

…と、その前に店長とバイヤー、それぞれの仕事内容について考えてみたいと思います。

店長は”浅く広く”

まず、店長は読んで字のごとく「店の長」ですから、店全体の責任者となっています。

そのため、 店全体つまり全部門の業務や業績について周知する 必要があります。

例えばある店のある月の業績で、ある部門の粗利が昨年度比70%しかなかったとします。
そこで、店長には”何故昨年比70%しか粗利が取れなかったのかの原因を追究し、改善策を見出す”ことが必要となってきます。
(もちろん、これはバイヤーも考えなければならない業務ではありますが)

それも、1部門に限った話ではなく、複数の部門に関して責任が追及され ていきます。

そうして、最終的には店全体の業績をUPさせることが、店長に課せられた大切な業務だといえるでしょう。

また、後述しますが 店長は商品の管理だけではなく、従業員の管理もしていかなければなりません。 

店の運営に大切な従業員の管理は、一筋縄ではいきません。

バイヤーは”深く狭く”

一方、バイヤーは店長とは反対に、 自分が受け持つ部門だけ関知していればよく、後は全くノータッチで全くわからなくても問題ない のです。

なので、店の業績や他部門に関しては一切責任を負う必要がありません。

あくまでも、自分の部門内で、業績が悪かった店に関してあるいは自部門全体の業績に関して、改善していく・伸長していくことを考えていけばよいのです。

そのため、バイヤーはその部門に関しての専門的な知識や経験が必要とされる職務といえます。

視点が違うため、単純に比較することができないが…

以上のように店長とバイヤーは視点が違っており、 浅く広くの店長と深く狭くのバイヤーを、一概に比較することができません。 

また各人の考え方によっても、バイヤーの方が上位だという人もいれば、店長の方が上位だという人もいます。

ですから、このページでは私個人の考えで結論とさせていただきたいと思います。

私は、店長とバイヤーはどちらも非常に責任重大な職務であり、それぞれが様々な問題と直面しながら業務をこなしていると考えています。

しかし、どちらかといえば、 店全体を率いる店長の方が立場が大きいのではないか と思います。

店長は商品だけではなく、従業員の管理が必要

 バイヤーが管理するのは自部門の商品に対してでありますが、店長の場合は店舗の商品に加えて、さらに従業員の管理が必要 となってきます。

従業員の管理というのは、勤怠など雇用に関する管理や、円滑な人間関係を築く手助けをするといったことが主な内容となります。

まず勤怠の管理についてですが、従業員は生身の人間ですから、例え言うことを聞かずに使い物にならなかったとしても、商品と同じように、いらないから捨てるなんてこともできません。

逆に新しい従業員が必要となった場合も、商品を発注して入荷するのとはわけが違います。

そして、なにより一番大変なのは職場内の人間関係、特にお局パートさんへの対応です。

お局パートさんはベテランですし、店の運営に貢献してくれるありがたい存在なのですが、気に入らない新人に対して厳しくしたり、自分のわがままを通そうとする節があります。

そんなお局パートさんのことを、よく思っていない他のパートさんもいるわけで…。

お局パートさんと不満を抱えた他のパートさんが対立しているということは、どの店でも珍しくありません。

この間に入って仲裁する役割…つまり 円滑な人間関係を築くことも、店長の仕事である のです。

人を諫めるということが、どれほど大変な労力を要するか、店長以外にも部門チーフなど管理者の立場の方はよくおわかりかと思います。

 商品という感情のない物体に対する管理と、感情を持った人間に対する管理、どちらが難しいのかというと、当然後者 でしょう。

ですから、 店長は商品に加えて従業員の管理もしなければいけないという点で、敷居が高く職位も高いとみなす企業が多い のだと思います。


バイヤーも店長も、大変な仕事ですし、企業の中での立場もかなり高いということは間違いありません。

しかし、自部門の商品の管理だけをこなせばいいバイヤーと、広範囲の商品と従業員の管理も必要となる店長を比べると、店長の負担の方が高いといえます。

だからといって、単純にバイヤーは格下だとも言い切れません。

バイヤーはバイヤーで取引先との付き合いなど、店長とはまた違った面で悩みを抱えることになります。

そのため、両者を比べること自体がナンセンスであるといえるでしょう。