スーパーの売場・また陳列は開業からずっと同じというわけではなく、ときおり変更されています。
そのため、「いつも買う商品の場所が変わっていて、探すのが大変だった!」というお客さまの声も聞かれます。
従業員からみても売場や陳列が変わると、覚えるまでいろいろと不便に感じるもの。
そもそも売場も陳列も、一度決めたらわざわざ変更する必要なんてないような気がしますよね。
いったい何のために売場と陳列を変更しているのか…その秘密に迫っていきます。
トレンド感を出すため
お客さまの立場からはピンとこないかもしれませんが、スーパーの売場にもいわゆる”イマドキの売場”というものが存在しています。
イマドキの売場、つまり時代における最先端の売場を作ることで、競合店よりも自店のほうがお客さまを魅せることができるとのアピールにつながるわけです。
商品の配置や什器の使い方、飾り付けなどにおいて、イマドキの売場と時代遅れな売場は、はっきりと違いが見て取れるもの。
時代遅れな売場は古くてボロボロの什器を使用していたり、お客さまが求めるニーズを満たす商品を取り扱っていないなどで魅力を感じられません。
いっぽうイマドキの売場では鮮やかな飾りつけで売場を彩ったり、話題の商品はいち早く取り扱ったりなど、お客さまが思わず魅了されてしまうような売場となっています。
お客さまに商品を手にとってもらうには、まずは魅力ある売場を作り上げることが肝となります。
そのため トレンド感を全面に押し出したイマドキの売場に変更することで、お客さまの目を惹き売上UPにつながると店は期待している のです。
余談ですが競合店調査においても、売場の構成は必ずチェックすることになっています。
参考 | スーパーの競合店調査、何をするの?-違法って本当?- |
つねに最新のトレンドを追求した売場を作り上げている競合店は客付きがよく、とても参考になります。
売り込みたい商品をアピールするため
スーパーの売場は店が売り込みたい商品が変わるとともに、ガラッと一変します。
たとえば青果部門では旬の青果物を売場の一等地に配置していますが、これは季節感を出すことによって、お客さまが思わず商品を手に取ってしまうように仕掛けています。
青果では旬の商材を平台に置いて売り込むこのように、 その時期お客さまに求められる商品を売り込むことが売上の要となる ため、スーパーの売場づくりにおいて季節感はとても重要視されているのです。
そのほか 新商品やイチオシの商品など、店側が売上につなげたい商品をアピールする さいにも、売場の変更が行われています。
というのも店には本社から、「この商品を今月は売り込みなさい」という目標が課せられており、どの店も自店の売上を伸ばすのに必死なのです。
なかにはメーカーからのリベートが設定されている商品もあり、そのリベートをアテにしていることも。
そう、店が売り込みたい商品はお客さまにニーズがあるものとは限らず、店本位の売場となってしまうことがしばしばあるというわけです。
従業員のモチベーションUPのため
スーパーでは 働く従業員のモチベーションを上げるため、社内イベントの一環として売場を変えることがしばしばあります 。
そのイベントは売上コンテストまたは売場コンテストと称され、入賞上位者にインセンティブが与えられるのが一般的となっています。
コンテストの目的は指定された商品を使って、お客さまの目を惹くような売場を創り上げることとなります。
従業員みずからが考え、また一致団結して売場を創ることで、従業員のやりがい・達成感を満たすことができるというわけです。
また他の店の売場と比較し検証することで、商品を売り込むためのテクニックを習得する機会ともなります。
そして 魅惑的な売場を創り上げれば、お客さまが商品を手に取る機会も増え、相乗的に売上も上がる のです。
お客さまに飽きられないようにするため
いつも同じ売場というのは安心感があるいっぽう、マンネリ化の懸念があります。
お客さまはつねに新しいもの・ことに敏感ですから、飽きられないような店であるためには売場の変更が欠かせません 。人間の心理は不思議なもので売場が変わっていると、購入予定がないものでもつい見てしまう・手に取ってしまうものなんですよね。
また売場を変更すると、お客さまは商品を探すために売場を回らざるを得なくなりますが、これには少しでも売上を上げたいという店の思惑があるのです。
大々的に売場を変更したさいにはリニューアルオープンと銘打って集客し、新たなお客さまの獲得と競合店に流出してしまったお客さまの取り戻しを図ります。
参考 | スーパーのリニューアルはイベントの1つ?!-集客狙い- |
お客さまは気づいていないかもしれませんが、スーパーは数年おきに何度もリニューアルを繰り返しているのですよ。
利便性が向上し、お客さまから喜ばれているリニューアルもあれば、反対に不便な売場になり失敗したリニューアルもあります。
実際に売場を変えてみなければ、成功するかどうかわからないので、ある意味リニューアルは店の賭けだといえるでしょう。
新商品の導入や商品の改廃が生じたため
スーパーの商品は、棚の何段目にどれくらいのフェース(列)を取るかをあらかじめ決めたうえ(棚割り)で陳列されています。
棚割りはマーチャンダイザーあるいはバイヤーが考えますが、決めた棚割りがずっと不変であることはまずありません。
というのもスーパーで取り扱っている商品は、新商品の登場や改廃などで目まぐるしく変化し続けるからです。
商品を導入する場合、商品を撤廃する場合、いずれにしても現在の陳列を変更しなければならなくなります 。 新商品は目立つよう、ポップをつけてアピール売場の面積には限りがありますから、 新商品を入れるなら他のものを撤廃する、なにか撤廃する商品があるなら、今ある商品のフェースを広げるなどでうまく調整していきます 。
陳列棚の調節が難しい場合は、売場のカテゴリー自体を変更してしまうこともあります。
たとえば青果売場の一部を日配売場に変更、といった具合です。
とはいえ売場のカテゴリーを変えるというのは、よほど大きなリニューアルのときくらいしか行われることはありませんけどね。
スーパーの売場や陳列を変更するのは、お客さまが想像する以上に手間がかかる作業となります。
広範囲の変更となると数時間から半日はかかりますし、ヘタすると数日に渡って行われることも。
それほどまでに労力を使ってまで売場・陳列を変える理由の根本としては、ずばり売上を伸ばしたいという思惑があります。
魅力的な売場を創ることがお客さまを呼び込み、そして商品を手に取ってもらえると従業員は期待しています。
とにかくまず売場に興味を持ってもらえなければ、肝心の商品も見てもらえませんから、売場の構成は非常に重要な作業となっています。
激安の殿堂ドン・キホーテに見られる迷路のような売場は、見事にお客さまの興味を惹きつけることに成功している事例といえるでしょう。
こうしてみると、売場の変更は店の都合で勝手に行われ、お客さまの存在を無視しているかのように思えるかもしれませんね。
もちろん、お客さまの利便性を向上させるための売場変更が行われることもありますし、けして店の都合ばかりを優先しているわけではないことは確かです。
もし売場の陳列に関して不満に思う点があるようでしたら、お客さまの声として意見を店に提出してみるのもいいでしょう。
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