ふつうのにんじんと金時にんじん、その違いは?-見た目や特性-

金時にんじんとにんじん

にんじんは、どこのスーパーに行っても並んでいる定番野菜です。

炒め物・煮物・焼き物とどんな用途にも使えることから、みなさんもよく食べていることでしょう。

特に旬となる冬場には、一年のなかで最もにんじんが売れる時期といっても過言ではありません。

そこで主役となるのはふだんは店に並ぶことのない、金時にんじんという品種のものになります。

金時にんじんはおせち料理には欠かせない食材ですが、その存在を知らない方も多いのではないでしょうか。

そもそもふつうのにんじんとの違いがわからない、という疑問もよく聞きます。

今回はふだん使っているにんじんはもちろん、金時にんじんについて紹介します。

金時にんじんが気になるけれど手が出せずにいる方、必読ですよ。


にんじんは西洋系と東洋系の2種

にんじんはセリ科ニンジン属の野菜です。

原産地はアフガニスタンとされ、そこからオランダなどヨーロッパへ伝来した西洋系にんじんと、中国などアジアへ伝来した東洋系にんじんの2種類にわかれていきました。

日本へはまず、東洋系のにんじんが16世紀ごろに伝来しました。

しかし栽培が難しいことなどの理由により、現在では東洋系にんじんの生産はごく少数となっています。

今でも生産されている 東洋系にんじんの品種は、金時にんじん があげられます。

次に西洋系にんじんについてですが、東洋系にんじんよりも少し遅れて、江戸時代後期に伝来してきました。

のちに東洋系にんじんに代わって急速に普及したため、現在ではふつうにんじんといえば西洋にんじんを指します。

 西洋系にんじんの主な品種は五寸にんじん です。

それでは東洋系の金時にんじんと西洋系の五寸にんじんについて、それぞれ詳しく紹介していきます。

五寸にんじん(西洋系)

 ふつうにんじんといえば、西洋系である五寸にんじんのことを指します 

しかし五寸にんじんと呼ぶことはほとんどなく、店頭でも単に「にんじん」としか表記されていませんが、特別問題はありません。

ちなみに五寸とはおよそ15cmを意味する言葉で、五寸にんじんはその名前のとおり、だいたい約15cm前後の長さとなっています。

それでは、五寸にんじん(以下にんじん)についての基本的なデータをご覧ください。

レア度 ★☆☆☆☆
主な産地 北海道・千葉県・徳島県
主な調理法 カレー・サラダ・野菜炒めなど
旬の時期 9月~12月

それでは順にみていきましょう。

にんじんはどこのスーパーにも必ずある、定番品です。

そのため、レア感はまったくありません。

次に主な産地ですが北海道に千葉県そして徳島県と、あまり気候に関係なく生産が行われているといえますね。

比較的、全国各地で栽培されている野菜なのではないかと思われます。

主な調理法としてはカレー・サラダ・野菜炒めがあげられますが、他にも天ぷらなんかにしてもおいしく食べられます。

なにせ にんじんは、煮ても炒めてもそのまま食べてもよしの万能野菜 ですから、調理に困ることはないでしょう。

旬は秋~冬で、この時期はにんじんをよく使うシチューや鍋料理にちょうどぴったりの食材となっています。

金時にんじん(東洋系)

金時にんじんはほとんど生産されていない、珍しい野菜の一つです。

その姿は細長く表皮は深赤色と、ふつうのにんじんとの違いが見てとれます。

ですからにんじんと金時にんじんを間違えてしまうことは、おそらくないでしょう。

それでは、金時にんじんについてさらに詳しく紹介しましょう。

レア度 ★☆☆☆☆
主な産地 香川県
主な調理法 お雑煮・筑前煮など
旬の時期 11月~3月

金時にんじんはふつうのにんじんとは異なり、一年中いつでも入手できるものではありません。

 旬である11月~3月にしか店頭には並ばず、しかも多くの店では、特に需要が増える12月頃に限定して取り扱っている ような状況です。

そのため、かなりレアな野菜だといえますね。

主な産地は香川県で、全体のおよそ7割の生産が行われています。

金時人参鮮赤色の表皮と細長い形がトレードマーク

ちなみに 金時にんじんは京野菜の一つ となっていることから、京都府も生産数は少ないものの主要な産地となっているのです。

 熱を通すと甘みが強くなり、また煮崩れしにくいことから、おせち料理にかかせないお雑煮・お煮しめに最適な食材 となっています。

ふだん使いとしては、筑前煮といった和風の味付けをする煮物料理にもgoodです。

いっぽう、サラダなどの生食には向いていないので注意してください。

にんじんの鮮度チェック方法

 にんじんの鮮度チェックをするさいには、ヘタの部分と胴体部分の2ヶ所をみる 必要があります。

まず ヘタから芽が伸びてしまっているものは、劣化しています 

食べられなくはありませんが見た目がよくないので、値引する必要があります。

ちなみにこの芽を伸ばして葉がついた場合、だいこんやかぶの葉同様に食べることもできますよ。

次に 胴体部分が溶けたり、変色しているものは傷んでいます 

特に先端が溶けやすいので、よく注視するようにしましょう。

また変色しているかどうかは真っ黒な傷がついたようになっている、もしくは薄茶色に汚れてしまっている部分がないかで判断してください。

もし判別が難しいようであれば、新鮮なにんじんと比較すると表皮の色の違いがすぐわかるはずです。


ふつうのにんじんと金時にんじんは、見た目から性質まで大きく違っています。

どちらも同じだろうと思っている方もいるでしょうけれど、金時にんじんはふつうのにんじんの代替にはなりません。

なぜなら、金時にんじんは生だと苦味や渋味を感じてしまうため、サラダなど火を通さない料理には適さないからです。

逆にふつうのにんじんを金時にんじんの代わりに使っても、さほど違和感はありません。

少し甘みとコクが足りないくらいで、まったく問題はないのです。

とはいえ西日本地域、特に関西地方では「正月料理に使うのは、やっぱり金時にんじん」というこだわりを持つ人も多いようです。

それもそのはずで、色合いの美しさや甘みがふつうのにんじんとは全然違うため、金時にんじんでないと正月料理の特別感は出せないわけなんですね。

今まで金時にんじんを使ったことがない方、今年こそはぜひ使ってみてはいかがでしょうか?

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