スーパーに勤める正社員にとって、人事異動は避けられない話です。
人事異動は、異動する本人はもちろん周囲の人間にも大きな影響を与えるものとなっています。
ときには尊敬する先輩社員や気になる人が異動してしまい、悲しい思いをすることも…。
人事異動なんていらないという声もありますが、実際人事異動には重要な意味合いがあるのです。
今回は人事異動の種類やいつ、どんな理由で行われるのかを中心に解説していきます。
人事異動の種類
ひとくちに人事異動といっても、さまざまな種類があります。
新入社員の配属も人事異動のひとつ スーパーで行われている人事異動の種類は、昇格・降格・配置転換・転勤が代表的なものになります 。昇格は副店長→店長など役職が上がること、降格は逆にチーフ→サブチーフなど役職が下がること、配置転換は部門の変更や役職の変更、転勤は勤務先の変更となります。
そして、 これらの要素は複合されることもあり 、昇格と同時に転勤ということも考えられます。
人事異動が行われる時期
やっぱり春は出会いと別れの季節 人事異動は、年度の切り替わりとなる時期にあたる2月~4月頃に行われることが通例となっています 。年度が切り替わるときには新入社員が入社してきますから、人事異動を行うにはなにかと都合がいいわけなんですよ。
しかし 必要性があれば、人事異動は時期を問わずいつでも行われます 。
そのため年度末の異動を含めて、年に何度も人事異動が行われている会社もあります。
短期間で異動させられてしまうことも
人事異動はいつ行われるかわからないため、数ヶ月といった非常に短期間のうちに二度目の人事異動がかかることもあります。
赴任してからたった数か月での異動は、どこかで急に退職者が出たなどといった緊急を要する理由で行われる と思っていてください。本来なら退職者はあらかじめ、退職する一か月前には通知しておかなければならないのですが、それを守らず急に退職する人もいます。
バックレなんかもそうですが、そうして急に辞めるということは誰にも予測不可能な事態となりますから、ある程度やむをえませんね。
そうして、退職者によって穴があいたところを埋めるための人事異動が行われるわけです。
人事異動の理由
それでは気になる人事異動を行う理由についてですが、さまざまな理由が考えられます。
だいたいの人が、以下で述べる理由のどれかにひっかかっているはずですよ。
人員を補充するため
人手が不足しているところに人員を補充する目的で、人事異動を行うこともあります 。正直、人件費はできるかぎり削減したいのが会社側の本音です。
しかし、業務を円滑に進めることができる必要最低人数は確保しておかなければなりません。
もしも必要最低人数を下回ってしまうと、業務に大きな支障が出てしまいます。
ですから、 退職などで必要最低人数以下の人員になってしまった店や部門には、人員を補充しなければなりません 。
そこで人員に余裕のあるところから、必要のあるところへ人間を異動させるわけです。
とはいえ、必ずしも人員が補充されるとはかぎりません。
人手不足が深刻なところでは、人員の補充をしてもらえないことも多々あります 。会社側は人員の補充に優先順位をつけているため、優先順位が低いと判断されたところには人員を補充しないのです。
なにせスーパーという業界自体が人手不足ですから、仕方ありませんね。
人間関係のトラブルによるため
スーパーは人間関係が難しいとよく言われる業界です。
異性間だけでなく同性間でも人間関係は難しいそのためか、パワハラ・モラハラ・セクハラといった人間関係によるトラブルもたびたび発生しています。
これら 人間関係によるトラブルが生じたさいには、加害者もしくは被害者の一方を人事異動させることによって、両者が関係を持たないように配慮をします 。
被害者感情が大きい場合は、加害者を懲戒解雇処分することもあります。
キャリアUPのため
ふつう人事異動とは、その人の将来性をみこんで、さまざまな部門や店での勤務を経験させる、いわゆるキャリアUPのために行われます 。 環境が変わると新たな気分で仕事に励めるそのため、 今まで経験したことがない部門や役職に異動することもあります 。
いきなり仕事内容が変わると負担に感じることでしょうけれど、そうしていろいろ経験を積めば、のちのちそのスキルが多方面で生かされることになっていきますよ。
また人事異動が多い人は一見すると、その仕事ができないから異動させられていると思いがちですが、実はまったく真逆で、早く出世する人ほどたくさん人事異動を経験する傾向にあります。
つまり 人事異動をさせるその真意は、若いうちにさまざまな経験を積んでもらおう、ということになります 。
ちなみに長年ずっと人事異動がかからない人は、幹部候補から外れてしまっているとみて間違いないでしょう。
マンネリ化防止のため
また 勤務する店舗の異動はひとりの人間が同じ店に長く勤めることはよくないと考え、マンネリ化防止のために行われます 。
長期間同じ店にいることによって緊張感が薄れ、仕事に対しての姿勢が適当になったり、最悪不正行為が行われることもあります。
そのため、あえてその店に慣れてきたころに異動させてしまうのです。
せっかく慣れ親しんだ店や従業員と別れるのはさみしいかもしれませんが、あくまで同じ店で長居し続けないことを考えた異動なので、また同じ店に戻ってくることもあります。
みずから異動を申し出たため
あまり数は多くありませんが、 会社命令ではなくみずから異動を申し出ることによる人事異動もあります 。
よく見られるのは精神的・肉体的疲労によって、今の役職を降りたいという申し出によるケースです。
このケースは、店長やバイヤーなど役職が高くなるにつれて多くみられます。
ふつう役職を降りたいと言われても会社は困ってしまうものですが、人手不足のなか辞められるよりマシということで、スーパー業界ではそんなお願いも案外すんなり通ってしまいます。
異動命令を断るなら、覚悟が必要
人事異動で負担を被りたくないから、異動命令を断りたい人もいることでしょう。
たしかに新しい店ではうまくやっていけるかどうか…新しい業務をスムーズにこなせるかどうかなど、悩みはつきませんよね。
また忙しい合間をぬって、前任者との引継ぎ作業も通常の勤務のなかで行っていかなければなりませんから、普段とは異なり余裕もなくなります。
さて 人事異動は断れるのかという部分についてですが、断れなくはありませんが、その後の処遇が不利になる可能性がある ことを覚悟してください。
断るなら会社側を納得させなければならない処遇が不利になるとは、たとえば今後の昇進の見込みがなくなったり、給与額が下がったりといった処遇を受けたりといった事柄になります。
人事異動は会社からの正当な理由で発令されるのですから、断る側もそれ相応の理由が必要 となってきます。遠方への転勤を断るのでしたら、身内の介護をしているから通勤に時間がかかるのは困る、家を離れられないといった理由ですね。
ただし厳しいところでは、それすら正当な理由として認めてくれないこともあります。
基本的に人事異動は絶対的なものだと思っておいたほうがよさそうです 。人事異動は会社が一方的に有益になるように行われているかと思いきや、働く従業員にもメリットがあるような異動も存在します。
昇格したり勤務先が家から近くなったときは、そのメリットを感じることでしょう。
逆に降格してしまったり、勤務先が遠方になってしまったときはなかなか納得できませんけどね…。
バイトやパートには基本的に異動はありませんから、人事異動なんて他人事のように感じてしまいがちです。
しかし人事異動で店長や自分が所属する部門のチーフが変わるとなれば、他人事ではなくなります。
正社員だけでなくバイトやパートにとっても、人事異動の影響は大きいといえるでしょう。