スーパーで行われている人事評価、一般的な部分については以前ご紹介しました。
今回は役職がついていない一般社員およびバイト・パートを対象とした、さらに詳細な評価ポイントについて紹介します。
昇進を目指す方は、まず以下の項目を遂行できるようになることを目標としましょう。
先入れ先出しを徹底しているか
先入れ先出しとは古い商品を手前に出し、新しい商品を奥に入れることで、品出しをするうえで守らなければならない ルールの一つです。面倒だからといって、古い商品を奥に追いやって、あいたところに新しい商品を出す担当者もいますが、これはお客さまや店に迷惑がかかる行為となります。
先述のように 先入れ先出しで商品を出していないと、手前の新しい商品ばかりが売れてしまい、奥に残った古い商品がたくさんロスになってしまいます 。
特に生鮮品や日配品は賞味/消費期限が短いですから、お客さまはより新しく長い日付のものを求める傾向にあります。
賞味/消費期限が切れた商品は廃棄するしかなく、その数が多ければ大変な金額がマイナスになります。
今や食品ロスは、世界的にも解決していかなければならない重大な問題となっていますから、よりいっそうロスを出さないように努力しなければならないのです。
それから、 万が一期限切れの商品をお客さまが購入してしまったら、大問題となります 。
保健所に通報されてしまった場合、店へ監査が入りますし、最悪の場合店の存続にかかわってきます。
以上のことから、 先入れ先出しは徹底して行わなければいけない といえるでしょう。
鮮度チェックを毎日しているか
青果部門では鮮度チェックもかなり重要な作業 となっています。青果物には賞味/消費期限が記載されていないため、賞味期限チェックの代わりに鮮度チェックをして、値引きする品や廃棄しなければならない品を売場から下げるのです。
この鮮度チェックは、当然毎日しなければいけません。
青果物が劣化していくスピードはモノによって異なりますが、一日鮮度チェックをおこたっただけで、廃棄しなければならなくなることもしばしば…。
また、 お客さまの手に傷んでしまった商品が行き渡ってしまってはクレームのもとになりますから、面倒でも毎日ちゃんと鮮度チェックをする必要がある のです。
売変とポップのつけかえを確認しているか
売変(売価変更)とポップのつけかえは、部門担当者が行わなければならない基本的かつ重要な作業 となります。 売価とポップの価格が合致していないようなお店は、だんだんお客さまからの信頼を失っていってしまいます 。それも当然で、価格といったお金に関係する部分が間違っている店はつまり、誠意のない店と判断されてしまうわけです。
特に広告の品になる商品は、レジを通したときの価格とポップが合っていないと、お客さまからのクレームが入ってしまうので要注意ですよ。
お客さまから支持される店であり続けるためにも、 売変とポップのつけかえのどちらも手を抜かずにしっかり確認することが重要 だといえるでしょう。
品切れ商品が出ないように努力しているか
せっかくお客さまにご来店していただいても、肝心の商品が品切れしていては意味がありません 。その理由はお客さまがなぜ、お店に来るのかを考えれば簡単な話です。
みなさんも商品を購入するために来店したのに、そこでお目当ての商品がなかったら、がっかりしませんか?
なかには、「もうこの店には行かない」と思う人もいるでしょうね。
つまり 品切れを起こすことはお客さまの不満がつのる原因となり、店の評価を大きく下げてしまう 一因になるのです。
また、お客さまが不便なだけではなく店側もチャンスロスをこうむってしまうことになり、取れるはずの売上や利益を逃してしまいます。
品切れが起こしてしまう原因は全面的に店側にあるわけで、その原因も従業員の努力で改善できる部分も多くあります。
たとえば発注精度を上げる、商品を店間(店舗間移動)するなどで十分品切れを防ぐことができます。
上記のように 品切れが起こらないように対処する方法があるのに、品切れを起こしているようでは、仕事を遂行しているとは評価できません 。
周囲に対して報連相をしっかり行っているか
ほうれん草…ではなく 報連相は、日々の業務を進めていくうえでも大切なこと になります。
ちなみに報連相とは、報告・連絡・相談を略した言葉です。
報連相がきっちり行われないと、一緒に働く従業員やお客さま、取引先にまで迷惑が及ぶ 可能性があります。特にお客さまからのクレームがあった場合には、上司へ報連相を行うことがとても重要となってきます。
もしも自己判断でお客さまに対応してしまうと、お客さまの怒りに火を注いでしまうこともあるのです。
そのためできるかぎり自分ひとりで対処しようとせず、まずはクレームがあったことを上司に報告して、その後の対応はすべて任せてしまいましょう。
上司からしても部下がお客さまにヘタに対応するよりも、自分が責任を持って対応したほうがいいと思っていますから、お互いにとっても都合がいいといえるでしょう。
仕事に関して興味関心を持っているか
仕事に対しては、つねに興味関心を持って仕事をしなければなりません 。なぜなら仕事に興味や関心があるからこそ、意欲的に考えたり作業したりできるといえるからです。
逆にいえば興味も関心もない仕事をし続けることは、なかなかできませんよね。
実際のところ仕事内容に興味が持てないという理由で、会社を辞める人も少なくありません。
しかしだからといって、安易にそのような理由で辞めてしまうのは、いささか社会人としては未熟だといえるでしょう。
もともと興味関心がなかった仕事であっても、会社に勤めている以上は、自ら興味関心を持つように努力しなければいけない のです。そうして興味を持って意欲的に仕事をすることは、社会人として求められている能力のひとつなのです。
このことから 仕事に対して興味関心を持つことも、大事な業務 といっても過言ではありません。
バイヤーの計画に基づいた売場になっているか
売場の棚割り(簡単にいうと、どの商品をどの位置に配置するか)や、取り扱う商品の選定はバイヤーが行っており、これらを取り決めた販売計画書が作られています。
部門担当者はバイヤーが決めた販売計画書の指示に従って、売場を変更したり発注をしていく わけです。ところが販売計画書の指示に守らず、勝手に売場を変えてしまったり、商品を発注しなかったりする担当者も存在しています。
バイヤーは販売計画書を守った売場を想定して、月の売上や粗利などの着地予想をしていますのでこれが守られないと、せっかく立てた販売計画がまったくの無意味になってしまうのです。
さらに 担当者が勝手な売場を作ってしまうと、会社全体で見たときに売場の統一感がなくなってしまいます 。
青果部門でいうならば、ある店では春野菜がメインになっているのに、別の店はまだ鍋物煮物商材がメインになっているといった感じですね。
メインになる商品が違えば、当然売上も粗利も違ってきますし、買上点数などほかの数値にも影響してくるわけです。
そのため売場の構成や取り扱う商品は、基本的には全店で統一されていることが望ましいのです。
つまり 販売計画書を守らないことは、上司の指示を守れないまた協調性がない人間と判断されかねない といえるでしょう。
発注日や発注時間を守っているか
決められた日時を守るということは人間として当然のことであり、会社で働くうえでも大切なこととなります。
スーパーでは、商品の発注日時を厳守する必要があります 。商品の発注日や発注可能時間は各部門ごとに細かく定められており、また企業によってもかなり違いがみられます。
しかし共通しているのは 発注日時を間違えて発注した場合、商品は納入されない ということです。
商品が入らないことによって、チャンスロスが発生してしまう のですが、たった一日発注漏れしてしまっただけでもそのロス額はかなり大きなものになります。商品の欠品はお客さまの利便性をいちじるしく損なう要因となりますから、商品の発注日時はかならず守り、できるかぎり欠品させないように努めましょう。
商品のロスは記録し、上司に報告しているか
部門の業績を知るには、売上や粗利が重要な項目ですがロス率も見逃してはいけません 。ロス率とはその名のとおり商品が廃棄された割合で、棚卸をすると算出することができます。
その計算式はとても複雑難解となるのでここでは触れませんが、そうして出されたロス率もまた、部門の成績をはかるものさしになっているのです。
ロス率は棚卸をすれば出せますが、その数字だけを過信するわけにはいきません 。 ふだんから部門担当者は、どの商品をいくつ廃棄したのかということを記録しておく必要があります 。会社や部門によってやり方は異なっていますが、バーコードがついているものは専用の機器でスキャンする、青果物などバーコードがないものはノートに書いておくことになります。
このように商品のロスを記録する作業は、意外と面倒で後回しにされがちです。
それでも ロスの記録をしなければならない理由は、棚卸で出たロス率が異常値だった場合などに、異常値になってしまった原因究明の手がかりになるから です。
またバイヤーが店で記録されたロスの商品と個数を知ることによって、仕入れに落ち度があったことを自覚することにもつながります。
以上のことから、ロスが出た商品はちゃんと記録し、上司に報告することが大切となってくるのです。
売場やバックヤードは整理整頓されているか
整理整頓がうまくできているかいないかによって、仕事の効率化にとても影響してくることを、みなさんご存知でしょうか。
そう、 整理整頓をすると、仕事を効率よく進められるようになる のです。
整理整頓されておらず、どこに何があるかわからない状態ですと、まず作業に必要な用具を探すという余計な手間がかかります 。用具を探している時間がロスになってしまい、作業を行う時間が奪われてしまうわけですから、貴重な時間をムダにしているといえるでしょう。
また会社だけにかぎらず家でも、同じことがいえますし、 つねに整理整頓をしておくことによって、清掃の手間もはぶけ清潔さを保つことにもつながる のです。
ちなみに整理整頓は、製造業やサービス業で重要視される5Sというスローガンのなかに含まれていて、他のSはしつけ・清掃・清潔となっています。
頭文字がすべてSからはじまるので、5Sとなっているわけなんですね。
余談ですが、整理整頓が苦手だと仕事ができない人だと思われてしまうので、せめて会社にいるときだけでも整理整頓を心がけるようにしましょう。
かなりたくさんチェックポイントがありましたが、特別実行するのが難しいというような項目はなく、自分の心がけひとつで改善できるような事柄ばかりとなっています。
それもそのはず、これは一般社員とバイトやパート用のチェックポイントですから、レベル的にはまだまだ初歩といえるでしょう。
そしてチーフや店長、バイヤーにはこれ以上に厳しいチェックポイントが設けられているわけです。
職位があがればあがるほど、自分では解決できないような難しい問題についてもチェックがされていきます。
昇進するのは簡単ではないですが、ひとつ間違いないのは、最後にはマジメに会社のことを考えて行動した人は評価されるということです。
ただし例外もあり、そもそも評価制度を取り入れてないブラック企業では、いくらマジメにやっても無意味となります。
そんなブラック企業ではえこひいきもありますし、なんとなく適当に選んだ人間を昇進させることもザラです。
逆に言えば、ちゃんと評価制度を取り入れている会社ならば、ちゃんと自分の頑張りを評価してくれるとみていいでしょう。